さて今回は「PCでの音楽制作」のお話。
と言っても「作曲方法」とか「楽典がぁ」とかそっち系の話ではなく、機材やソフト系のお話です。
ちなみに近々Macに浮気する予定ではありますが、DTM系をいじってきたのはWindowsオンリーですので、今回の記事に関してはwindowsでのお話となります。
Mac慣れした際にはGarageBandやLogicの記事も書きたいところですが、それはまた先のお話♪
最低限必要なもの
単純に「音楽を作りたい」だけであれば実は敷居はそれほど高くありません。
あくまでも「音程のある音を出力する」という次元での話ですが。
そこに「音のクオリティ」であるとか「作業の効率化」などを求めるのであれば後述する追加機材や追加ソフト群などが必要になってきます。
この章では「これがないとできない」という意味での「最低限必要なもの」を書いていきます。
PC
20年前であれば音源モジュールやシーケンサーなどの専門機器を多数繋いで作るのが一般的であったコンピューターミュージックでしたが、PCのパワーが上がって来たことにより、過去に外部機器に頼っていた音源やエフェクタなども全てPC内で完結することができる様になりました。
(あえて機器の持つ癖(いい意味で)に拘って外部機器を使うことも多いですが。)
そんな感じで、何でもかんでもPC内で完結させることになるため、PCのパワーもそれなりに必要になってきます。
例えばピアノの三重和音でチューリップを打ち込みたいとかガラケー時代の着メロみたいに少ない音数の電子音でOKであれば、3万円くらいのATOM機でもできないことはありません。(動作のもっさり加減に我慢できればですが)
しかし実際にある程度の曲を作るとなれば、10〜20のソフトシンセを同時起動するとか十数トラックそれぞれに5個程度のエフェクトをかけるなんていう事はざらに行うので、低スペPCだとあっという間に固まります。
そんな感じなので
- 最低でもCPU i3 メモリー4Gbyte
- できれば CPU i5以上 メモリー8GByte
くらいを目安に考えておいた方が無難。
もちろん低スペPCでも
- 1トラックづつエフェクト→フリーズさせる
- リアルタイム処理をさせない
などの工夫をすれば作業できないこともありませんが・・・。
そこに費やす労力や時間は、作品制作に向けた方が良いと思うのです。
制作自体が目的ではなく過程を楽しむ系のマニアであれば話は別ですが(笑)
あとは、なんだかんだで情報量の多い画面を扱うので、あまり狭い画面だと作業に支障をきたしますので、デスクトップの大画面の方が作業しやすいとは思います。
マルチディスプレイならさらに作業性アップですね♪
DAW
Digital Audio Workstationの頭文字を並べた略称。
要は音関係の処理を一手に引き受けてくれるソフトの総称だと思ってもらえれば問題ないと思います。
役割としては
- 音源→ソフトシンセやサンプリング音源など
- シーケンサー→打ち込みなどの曲作りの部分
- エフェクト→エコーやディレイ、ギターのアンプシミュやマスタリングなどなど
とにかく音楽を作る上での様々なものが網羅されているソフトです。
価格もピンキリですし、種類も豊富なので色々迷うところですが、価格に関しては
- 安い→使えるトラック数や同時使用音源数、同時使用エフェクト数が少ない。
- 高い→好きなだけ色々使える(メモリーやCPU次第ですが)
機能も豊富(ボーカルの音程調整とか色々できたりする)
ってな感じですね。
フリーのDAWなんてぇのもあるっちゃぁありますが、音源やエフェクトの内蔵数が少なかったりで始めるまでに手間がかかる場合も多いので、個人的にはオススメしません。
後述するオーディオインターフェースを購入する前提であればインターフェースに付属のDAWが、最初のDAWとしてはオススメかなぁ?
基本的には市販されているDAWの機能限定版なので、操作などに慣れてきて1ランク上のDAWを使いたくなった場合でも、操作系が同じなので移行しやすいというメリットもありますし、機能限定版と言えど16トラック16エフェクト(ソフトによる)とか使えちゃうので、初心者の曲作りには過不足なかったりするんですよね。
そこらへんの同梱版DAWに関しては、後述のオーディオインターフェースの章で説明しますので、この章では市販のDAWのオススメを書いておきます。 (多数のDAWが存在しますが、あくまでも筆者が使ったことのあるものを紹介しておきます)
Cubase
特にこだわりがないならCubase使っとけば間違いないです。
癖のなさや互換性の面。
Vocaloid editor for Cubaseなど、他ソフトとの連携にも死角がありません。
他ソフトでボカロを使う場合、あらかじめ音声を書き出してオーディオデータとして扱うか、または同期という形でDAWから間接的にボカロを制御する様な場合が多いのですが、Vocaloid Editor for Cubaseの場合だと、完全に他の楽器と同じ次元でDAW内で編集が可能になるので作業性が格段にアップします。
はっきり言ってこれ使っちゃうと他の作業環境でボカロいじれなくまります(汗
それぞれグレードがあり、前述の通り各グレードで下記のような差があります。
⇩ | Cubase Pro 9 | Cubase Artist 9 | Cubase Elements 9 |
---|---|---|---|
最大ビット解像度 | 32ビット | 32ビット | 32ビット |
最大サンプリングレート | 192 kHz | 192 kHz | 192 kHz |
最大入出力数 | 256 | 32 | 24 |
オーディオトラック数 | 無制限 | 64 | 48 |
MIDI トラック数 | 無制限 | 128 | 64 |
インストゥルメントトラック数 | 無制限 | 32 | 24 |
インストゥルメントスロット数 | 64 | 32 | 16 |
価格帯 | 6万円弱 | 3万円台中盤 | 1万円台前半 |
他にも内蔵音源数やエフェクト搭載数などがかなり変わってきますので、詳細はCubase 9 シリーズ 機能比較にてご確認ください。
知名度やシェアでは上記2ソフトの足元にも及びませんが、色々特色があるDAW。
特筆するべきは「ライフタイムアップデート」という販売形態。
一般のDAWは、バージョンが上がるたびにいくばくかのアップデート料金を支払ってバージョンアップをすることになるわけですが、FLstudioの場合は「ライフタイムアップデート権」を同時購入していれば「生涯無料でアップデート可能」という太っ腹ぶり(笑)
ソフトの特色としてはループ系が扱いやすいインターフェースであったり、EDM で使いやすいような重厚な厚みのソフトシンセ群であったりと、かなりダンスミュージック系に特化した作りになっています。(もちろん普通の曲も作れますよw)
筆者の場合はFLstudioで曲を作りきるというよりは、FLstudioでループ素材を作っておいて別のDAWで使用する場合が多いです。
普段は全部入りのSignatureバンドルが2万円台中盤なのですが、本家サイトをチェックしていると、イベント時(クリスマスなど)に激安セールを行っていたりするので、そういう機会を狙ってみるのもお得に入手するチャンスです。
筆者も実はクリスマスセールで1万円ちょいで入手しています(笑)
この章のまとめ
- PCはそれなりのスペックの方が良い
- DAWはとりあえずCubase使っとけば後悔しない
- 最初はオーディオI/F付属のDAWで事足りる場合が多い
できれば必要なもの
前章では「最低限必要なもの」を説明しました。
しかし実際にある程度の規模の曲を作るとなれば、楽器やマイクの接続も視野に入れなければいけませんし、省力化のためにある程度「出来合いのもの」も使用していくことになります。
この章ではそんな「できれば必要なもの」を紹介していきます。
と言うか・・・「できれば」とは言っていますが、ほぼ必須です(笑)
オーディオインターフェース
一昔前ならいざ知らず、今時のPCであれば音声の入出力、つまりはスピーカー出力やマイク入力は普通に備わっています。
なので、DAWの音も普通にスピーカーから出力できますし、ヘッドセットマイクで良いなら声の録音も出来ないことはありません。
(実際 ニコニコのミキサー時代に、ヘッドセットマイクで録ったボーカル音源を送ってきた強者もいましたしw ノイズだらけで恐ろしく手間がかかった思い出が(涙))
ではなんでオーディオインターフェースなんていう仰々しい装置を使うのか?と言うと
- 音質
- 接続端子
- レイテンシ
の三要素を改善するためだと思ってもらって良いと思います。
音質
PCの3.5mmマイク入力やLINE入力。 はっきりいって簡易的な物ですし、音質もかなりアレです。
これは実際に録音した音をDAWに読み込んで波形表示をしてみればわかるのですが無音であるはずのところが無音じゃないレベルでノイズが入ります(笑)
ミックスの際にその部分のノイズをカットしたりと恐ろしく手間がかかるので、ボーカル音源を録る際にはぜひともオーディオインターフェースを使っていただきたいです
(いつの間にかお願いになってるw)
接続端子
あなたのPCに楽器やマイクを繋げたい!!
エレキギタ→繋がりません 市販のボーカル用マイク→繋がりません MIDI接続→繋がりません
そう!PCの接続端子には一般的な楽器やマイクは繋がらないのです。
変換プラグや変換ケーブルを使って「見た目を合わせる」ことで物理的に繋ぐことは可能ですが、インピーダンスや入力レベルなどの関係でまともな音では録れない事がほとんど。
コンデンサマイクなどは、XLR端子から給電してたりするので動作さえしません。
レイテンシ
実はPCの音というのは「音を出してね!!」ってPCが処理してから音が出るまでにわずかなタイムラグがあります。
これが一般的な内蔵音源&ドライバだと コンマ数秒くらいのラグがあったりするんですよね。
「コンマ数秒とか 別に気にしないし!!」って思うかも知れませんが、これ実は致命的な数字。
PCで打ち込んだ演奏に合わせてギターを録るとか、MIDIキーボードでリアルタイム演奏して打ち込んでいくとか、そういう作業の際に、その分のタイムラグが加算されてしまうので、録音された音がコンマ数秒遅れてしまうことになっちゃうんです(涙
わかりやすく言えば 120BPMの曲で0.5秒のレイテンシが発生した場合、4分音符一個分ずれちゃうことになるわけでして。 そのタイムラグを読んで録音するとか言う作業は神業・・・っていうか無理ですw
んで、オーディオインターフェースの場合はASIOというドライバを使用できるので、このレイテンシを低く(ゼロではない)抑えることが可能なんですね。
(一般のデバイスを無理やりASIO対応させるASIO4ALLというドライバも存在しますが、機器側のスペックが低いと安定して動かなかったりします)
おすすめオーディオインターフェース
オーディオインターフェースも結構色んなメーカーを使ってきましたけれど
- 機能と人気のRoland
- 音質と堅実さのYamaha
- マニア好みのTASCAM
- お金ないならBEHRINGER(マテ
って感じですね。 個人的には付属DAWと音質面で Steinberg (YAMAHA)推しです。
Steinberg UR22mkII
音質面、入出力数など、初心者DTMerには十分なスペックのオーディオインターフェース。
マイクプリアンプも高音質ですし、ギターなどをつなげるHi-Z端子も装備。
あとは個人的な好みになってしまいますが、Roland製品よりも音質がカリッとしている(個人的意見です)ので好きなんですよねぇ(笑)
そして、付属のDAWのがCubaseのAIというバージョンになっております。
Cubase自体は他社のI/Fにも付属していたりするのですが、他社の場合はLEと言うバージョン。
⇩ | AI | LE |
---|---|---|
オーディオトラック数 | 32 | 16 |
MIDIトラック数 | 48 | 24 |
Steinberg製品付属のCUBASEだと倍以上お得(どんぶり勘定)ということになります。
Roland UA-4FX2
名機UA-4FXの後継モデル。
基本的な機能はもちろんのこと、今時流行りのネット配信向け機能も充実しています。
インターフェース自体にエフェクト機能が内蔵されているので、簡易的ながら音の加工が単体で可能ですし「色々遊べる」と言う意味での多機能はさすがのRoland。
TASCAM US 2×2
堅牢、シンプルが代名詞なTASCAM製のオーディオインターフェース。
価格の割にはドライバも安定しているし音質も良いです。
付属DAWはSONARなので、SONARを試してみたい人にはオススメ
BEHRINGER UMC-22
実売5000円以下なのに、上級機と同等の機能&スペックの価格破壊機。
ただ・・USB接続時の音質は同社Xenyx機の時代からの伝統なのかイマイチ(笑) ちょっと曇った音質なのは否めません(個人的感想です)
付属DAWもTracktion 4というマニアックなDAWなので・・・覚悟しといた方がいいと思います
キーボード
マウスでポチポチと入力でも問題なく曲作りはできるのですが、やはり鍵盤があると作業効率はアップします。
弾けるかどうかは問題ではなく、直感的に音程を把握できるという意味で。
そんな感じなので、ライブで使うようなドでかいキーボードというよりは簡易的な入力装置という意味合いでの使用を想定しての機種を紹介します。
Korg NanoKey2
マニアックな製品が多いKORG。
そんなKORGの超コンパクトキーボードの二代目がこの機種。
ペチペチした鍵盤ながら、ベロシティ(弾く強さ)にも対応してますし意外に使える子。 慣れればオクターブキーを駆使してリアリタイムでの演奏もできます。
Korg MicroKey
そこそこ鍵盤が弾けてある程度サクサクとリアルタイム入力ができるならこのクラスを買ってもいいかも。
オクターブキーを駆使せずともある程度の演奏ができるので、作業性は格段にアップします。
紹介したのは37鍵タイプですが、25鍵タイプや61鍵タイプもあるので、技量や用途によって選ぶと吉
モニターヘッドホン
「お前の環境では綺麗に聞こえていてもうちで聞いたらメチャクチャやで!!」
こんな状況って結構あるんですよね。
例えば低音ブリブリのヘッドホンとかでミックスしちゃうと、普通のヘッドホンで聞いた人には一切低音が聞こえない楽曲になっちゃったりするんですよね(笑)
ってことで平均的に聞こえるヘッドホンは必須です。
SONY MDR-900ST
テレビなどでレコーディング場面が出てきたらほぼ90%はこのヘッドホンを頭に載せてると言っても過言ではないモニターヘッドホンのデファクトスタンダード。
ただ意外に知られていませんが万能選手ではありません。
「すべての音を逃さずに伝える」系のヘッドホンなので、録音時のノイズや些細なミスなどを拾うという意味では比類なきヘッドホンです。
しかし全ての音が近くに聞こえてしまうヘッドホンなので全体の雰囲気を掴む様なシーン、特にマスタリングなどは苦手。
あくまでも「録音時のモニター用」だと思ったほうが無難です。
ビクター RX900
全くもってモニター向けではない6000円程度で買える安価なヘッドホン。
解像度にしても音質にしても特上というわけではないのですが、いい意味で「バランスが良いヘッドホン」なんですなぁ。
基本的な作業は前述のMDR-CD900STで済ませておいて、最終工程の「雰囲気」はこのヘッドホンしておりました。
カバーが劣化してボロボロになりやすいのがたまにキズ。
モニタースピーカー
なんだかんだ言ってヘッドホンだと「頭のなかでなっている」ので 音の広がりとか雰囲気的な部分を聞くのは苦手。
実際はリスナーの方もヘッドホン視聴が主なので、ヘッドホンミックスでも支障ないっちゃぁないんですが・・・・。
気分的にスピーカーがあったほうがそれっぽい雰囲気で気分も上がります(笑)
Fostex PM0.4
安価なモニタースピーカーも数々ありますが、迷ってる暇があったらこれを選んでおいて 余った時間は楽曲制作に充ててくださいって感じ。
安心安定のFOSTEX製なのでまったくもって過不足はありませんので、とにかくこれ買っとけ!!と自信をもってオススメいたします
GENELEC 8020D
お金があったらほしい機種。
以前アキバで展示されてるものを聞いたことがあるんですが、もう異次元の音でしたね。
「5万ちょいなら買えるよww」って思ったそこのあなた。
5万は一台の値段です
ステレオで使いたい場合は11万ほどご用意お願いいたします(笑)
音源集
もちろんDAWには高品位の音源が多数収録されているので、ある程度の楽曲であればDAWだけで普通に製作可能です。
ただこれもねぇ・・・こだわりだすとキリがないんですよ。
ギター音源
ギターが弾ける人であればギターを繋いでチョチョイと録音しちゃうよ~」で済むわけですが、弾けない人の場合は打ち込みで再現しなければいけません。
と言ってもギター特有の奏法や音色などがあるので、ありきたりの音源ではそこらへんが再現できなかったりします。
そこらへんまで打ち込みで再現しようとすると・・・ギター専用音源とかも必要になってくる場合も。
ドラム音源
DAW内蔵のドラム音源も昨今ではかなりリアルになってきていますが、やはり専門音源の方が音質や内蔵パターンの数でははるかに上。
こだわり始めたら予算的に青天井なので・・・・DAWだけで満足しておいた方が精神的に健康でいられるかもしれません(笑)
ループ素材集
バスドラ打ち込んで、その間にスネア打ち込んで~♪ あぁ でもなんか音の強弱が人間ぽくないっていうかぁ~♪
うわぁぁぁぁぁぁあ!!! わかんねぇ!!
打ち込みしてるとアルアルネタですね。
Sound Pool シリーズ
実際のところ苦労して打ち込んだリズムネタとかって 実はループ素材集使ったほうが楽だったりする場合が多いんです。
省力化というか「美味しいものは使わせていただく」のも大事。
このサウンドプールシリーズはジャンルごとに重宝しそうなループ集がシリーズ化されているので、作りたいジャンルが決まっていれば決め打ちで買えるのでおすすめです。
ちなみに、ほぼサウンドプールのループ音源を並べただけの演奏にボカロでボーカルを乗っけただけのとまじぃ作品がこちらです(爆)
歌詞とか曲の構成はさておき・・・たいして苦労せずにこのくらいは作れてしまうという例としてお楽しみください♪
まとめ
そんな感じで長々と解説してまいりましたが、ぶっちゃけてしまうと「結構金がかかるのでハマらないほうが良い趣味」な事は間違いありません(笑)
ただ「答えがない世界」なので、キリがなくハマれる趣味が欲しい場合はうってつけな分野かなと思います。
カメラ沼やオーディオ沼に比べれば知名度はありませんが、底なし沼の深さって部分ではかなりやばい世界なので・・・ハマりたい人は覚悟してきてくださいねw
以上 沼の中からとまじぃがお送りいたしました♪
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