急激な気温の変化に驚かされる昨今ですが、皆様デスク環境の整備はいかがでしょうか。こんにちは、とまじぃです。以前、モニターアームの導入レビューをお届けしましたが、実は数年間の運用を経て、最終的に「純正スタンド」へと回帰するという結論に至りました。自由自在に動かせるはずのモニターアームをなぜ手放したのか。実際に使ってみて分かった、設置環境による意外な落とし穴と、可動範囲の制限について詳しく解説します。
理想と現実:モニターアームの自由度を阻む「壁」の存在
モニターアームといえば「どんな角度や位置にもストレスなく移動できる」というイメージが強いですが、実際に日本の住宅事情で運用すると、多くの制約に直面します。
最大の障壁となるのが、デスク背面のスペースです。多くのユーザーはデスクを壁に寄せて設置しているかと思いますが、この状態ではアームを奥行き方向に逃がすスペースがありません。その結果、アームを折り畳むことができず、図のように「横からモニターを支える」変則的なスタイルを余儀なくされます。

このような設置状況に陥ると、期待していた「水平・垂直へのスムーズな移動」が極めて困難になるという問題が発生します。
構造上の欠点:アームの動きは「平行」ではなく「円運動」
背面に十分な空間があれば、複数の関節を組み合わせることで擬似的な平行移動が可能です。しかし、壁際などの狭い場所では関節の可動域が制限されるため、アームの特性である「円運動」が顕著に現れてしまいます。
例えば、現状の高さや横位置をキープしたまま動かしたいと考えても(下図参照)、

実際には関節を軸とした回転運動になるため、下図のような軌道しか描けなくなります。

前後移動においても同様です。「左右の位置を変えずに手前に引き出す」動作をしようとしても、アームが伸びるにつれて画面が右や左へスライドしてしまいます。微調整が必要な場合、結局はクランプ部分のネジを緩めて設置場所そのものを変える必要があり、27インチクラスの重いモニターを相手にするのは相当な重労働になります。
身体構造で考える可動域のメカニズム
この不自由さを人体に例えると非常に理解しやすくなります。
通常、私たちは手に持ったコップを水平に保ったまま前後左右に動かせますが、もし「背中と肘を壁に密着させた状態」で同じことをしようとしたらどうでしょうか。肘を後ろに引けないため、前後移動は封じられ、左右に動かそうとすればコップは弧を描いてしまいます。
人間の腕は多方向に回転・屈曲できる関節を持っていますが、それでも壁という制限があればこれだけ動きが制限されます。回転か屈曲のどちらか一方向しか動かない関節を持つモニターアームであれば、その制約がより顕著になるのは当然の理と言えるでしょう。
再発見:最新モニターの純正スタンドは優秀だった
私が愛用しているフィリップス製のモニター(下記モデル)も、当初からアーム運用を前提としていたため、純正スタンドは未開封のまま保管していました。
しかし、アームの不便さに限界を感じて純正スタンドを試してみたところ、驚くべき結果となりました。

最近のスタンドはデザインが洗練されており、台座部分もフラットなため小物を置くスペースとしても優秀です。さらに驚いたのは昇降機能で、ガス圧式を採用しているため軽い力で好みの高さにピタリと固定できます。

平行移動についても、スタンドごと動かせば済む話です。モニターアームのように根元から再構築する手間を考えれば、スタンド運用の方が遥かにクイックに調整が完了します。「あれ、純正で十分じゃないか?」というのが正直な感想でした。
まとめ:環境に合わせた最適な選択を
数年間のアーム運用を経て辿り着いた答えは、「用途と環境によっては純正スタンドの方が合理的である」という事実です。もちろん、ノートPCの上にモニターを配置する、あるいは縦型デュアルディスプレイを構築するといった「高さを稼ぐ必要があるケース」ではモニターアームが不可欠です。
しかし、背後に余裕がない壁際の環境で、頻繁に位置を微調整したいのであれば、安価な3軸・4軸タイプのアームは避けた方が賢明でしょう。特にガジェット好きでデスクレイアウトを頻繁に変更する方ほど、平行移動が苦手なアームはストレスの要因になりがちです。
もし、どうしても壁際でアームを使いたいのであれば、より関節数の多い「5軸タイプ」などの多関節モデルを検討すべきです。
ただし、5軸タイプは標準的なモデルの3~4倍のコストがかかることも珍しくありません。「頻繁には動かさない」あるいは「なんとなくアームを試してみたい」という程度であれば、まずは5,000円前後の標準的なアームから入るのも一つの選択肢ではありますが、その際は今回挙げたデメリットを念頭に置いてみてください。
まとめ
モニターアームは魔法の道具ではなく、設置環境(特に背面スペース)によってその真価が大きく左右されます。壁際にデスクを配置している場合、アーム特有の「円運動」がネックとなり、期待した平行移動ができなくなる恐れがあります。最新のモニター純正スタンドは機能性が向上しているため、一度その利便性を見直してみることをおすすめします。
こんな人におすすめ
- デスクを壁にぴったりつけて配置している人
- 画面の高さや前後位置を頻繁に微調整したい人
- 安価なモニターアームの導入を検討している人
- 最新モニターの純正スタンドの機能を試していない人
よくある質問(FAQ)
Q. モニターアームで水平に平行移動させるコツはありますか?
A. デスク背面に十分なスペースを確保し、アームを「く」の字に曲げて余裕を持たせることで、複数の関節が連動しやすくなり、平行に近い移動が可能になります。壁際設置では物理的に困難です。
Q. 純正スタンドのメリットは何ですか?
A. 設置の安定感はもちろん、最新モデルはガス圧昇降やピボット機能を備えていることが多く、モニターに最適化された設計になっています。また、台座位置の移動だけで前後左右の調整が完結する点もメリットです。
Q. 5軸タイプのアームなら壁際でも問題ありませんか?
A. 4軸タイプに比べれば関節が増える分、アームを逃がす余裕が生まれます。ただし、構造が複雑になるため価格が高価になりやすく、また関節が増えることによる「たわみ」の発生など別の注意点も出てきます。




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